小さな願いとかすかな祈り (1)

今回の可視光線ファイナルをうけて。

ねー、みなさんあのあと薪さん青木くんちで鍋食べたと思います?
泊まっていったと思います?
舞ちゃんと遊んだと思います?

わー、そうだったらいいな!!

という妄想と、自分なりの今回のお話のテーマだったんじゃないか、ということを含めてお話を書いてみました。


あくまで個人の妄想ですので、そういうの大丈夫な方のみ!お読みくださいませ。

えー、なんせにゃんたろーですので色っぽいシーンは一切ありません。
アンダー15でも大丈夫ですよ。そういう意味では。
だからつまらないかもしれませんが。そっちの意味では。


ではでは、大丈夫な方のみ、どうぞー



僕は土鍋の中でぐつぐつ煮える白菜やえのき、鶏肉を前に途方に暮れていた。


なぜ、自分は今コタツに入って、水炊きを食べているのだろう?

しかもーー

「マキちゃん、白菜だけじゃなくてお肉も食べないと!舞取ってあげる!」
なぜ、青木とその姪と母と、4人でーーー
「舞、薪さん少食だから。ご自分で食べられるから、いいんだよ。」
すみません薪さん。舞意外と世話焼きなんです。
と青木が照れ臭そうに笑って、僕の目の前にお猪口を置いた。
「薪さん日本酒お好きですよね。頂き物なんですけど喜多屋ってご存知ですか?よろしければーー」
「いや、いい……」
今酒なんか飲んだら、即座に寝落ちてしまいそうだ。
「まあ、そうおっしゃらず、どうぞ」
「マキちゃん、おいしい?舞のジュースも飲む?」
右から舞ちゃん、左から青木が交互に話しかけてくる。

ーーまったく、どうしてこんなことにーーー

結局あのあと、東京に戻る飛行機も取れず、市内のホテルに宿泊しようとしたら青木の姪が「泊まっていってほしい」と半泣きになったのだ。
「マキちゃん、泊まっていって。ね?舞と一緒に遊ぼう?」
その潤んだ瞳に抗えず、僕は促されるままに青木の家に泊まるはめになったのだ。
僕はなぜ断りきれなかったのかと、自分を呪った。

夕飯の後も僕の傍から離れず、ひとしきり喋ったり遊びに誘ったりとはしゃいでいた姪っ子も、睡魔には勝てず青木の母親と眠りについていた。

「すみません、寝る場所がなくて、オレの部屋で」
そして青木は大きな身体でせっせと高麗鼠のように働いていた。着替えを出し、一番風呂を勧め、客用布団を出してきて……
自分のベッドの横に、僕の寝床を整えていた。
「そしてすみません、着替えがオレのしかなくて………」
と、僕の様子をみてぶっと小さく吹き出した。
190cmの青木のパジャマは僕には大きく、手足をかなりたくし上げなくてはならなかった。
きっと青木の目には滑稽に映るんだろう。襟元もかなりゆるい。
「笑うな。」
「すみません、だって薪さん、かわ………っ」
はっとして口をつぐみ、いえなんでもありません。とモゴモゴ独り言のように呟いて、青木は枕を整えた。

「舞ちゃん」
「はい?」
「大きくなったな。前に写真を送ってくれた時はまだ赤ん坊のようだったのに。」
「え、もうすぐ3歳の頃ですよね?赤ん坊ってほどじゃないですよ。…でもそうですね。今はもう5歳だから、すっかり幼児っていうか少女って感じですよね。よくしゃべるし、けっこうしっかりしてて。」
「そうだな。でも」
でも。
まだ頬など神様がつくったばかりのように丸くてふわりとしていて。髪も細くてしなやかで、つやつやしていた。出来立ての人間みたいだった。
小さな手に信じられないくらいに小さなうすい爪。白目がうっすら青くて、黒い目がくるくるとよく動いて、その瞳の中に自分が映るたびに何故か敬虔な気持ちになった。

彼女は、青木の姉夫婦が残していった「守るべきもの」だ。
桜木さんの母親の名誉のように。
僕にとっての第九のように。

「……可愛らしいもんだな。子供っていうのは。」
「そうですよねえ。本当に。舞、薪さんになついちゃって、たくさんお相手させちゃってすみませんでした。お疲れになったでしょう?」
「いや、大丈夫だ。」
「なんか、子供って綺麗な人が好きなんですよね」
「………」
「あ、いえすみません……。昨日ほとんど眠れなかったんですよね?早くお休みになってください!」

青木が整えてくれた布団に潜り込み、目を閉じた。洗い立ての清潔なシーツの匂い。
昨日はほとんどじゃない、まったく眠れなかったのだ。病院にいってからウトウトしたものの、もう体は夢の世界に行きたがっていた。

なのに。
この異様な状況のせいだろうか。なぜか神経だけが眠りたがらず、夢とうつつを行ったり来たりしていた。

「薪さん」
青木の静かな声がする
「眠れないんですか?」
寝返りばかりうっていたからか、そう問われる。
「いや……」
眠くて眠くてしょうがないのに。
「……すみません、なれない所で……薪さんベッド派ですよね?こっちと交換しますか?」
そのせいじゃない。
でも声を出すのがめんどくさくて小さく首を振った。
「………薪さん」
青木が、僕の顔を見つめているような気がした。さっき思わず泣いてしまったこともあり、なんだか気恥ずかしい。
自分の体温が少し上がったのがわかる。
そっと目をあけると、やっぱり青木は僕の方をみて微笑んでいた。
とても優しい目をして。

その微笑みを見た時、僕はどこかでこの笑みを見たことがあるような気がした。すごく遠い遠い昔。
4年前じゃなくて。もっとずっと昔ーー
どこで?
鈴木と混同しているのか?いや………

「薪さん、オレーー眠りながらでいいんで、話聞いてもらえますか?」

なんだそれ。そんな器用な真似できるか。そう思うもののもう声が出ない。
「不思議なんですけどーーオレ、時々鈴木さんの夢を見るんです」
思わず、驚きで一瞬目が開いた。が、また瞼が重く閉じてくる。
「不思議なのはーーオレの見た、鈴木さんの脳、MRI画像じゃないんです。違うんです。見たことない映像なんですよ。でも、夢の中で俺は鈴木さんになっているんです」

興味深い。
脳を見た対象者が身近な人間の関係者である場合、何かしら深層心理に影響を及ぼすものなのだろうか。
残念ながら、調査対象者が少なそうだ。
「俺ね、薪さんを抱きしめているんです」
「………は?」
「メガネのフレームが視界に入ってこなくて、なんか腕の感じとか違ってて。しらない時計とかしてて。小さな鏡が壁にかかってて、その姿が鈴木さんなんです。それで薪さん泣いてるんですよ。で、俺はーー鈴木さんは、それを慰めようと背中とか髪とかを撫でてるんです。」

僕はなんとか薄目を開けて青木を見た。今メガネもなくて、寝る前で前髪がハラリと落ちていて、僕自身も青木が鈴木に見えてきた。
「大丈夫だから。わかってるから。大丈夫だから。ってずっと繰り返してて」
くすり、と小さく笑う声。
「なにが大丈夫なのか、わかってるのか俺はーーあ、青木は全然わからないんですけどね。薪さんは何も答えなくてずっと泣いてるんです。だからオレ、ずっと慰めてるんです。そんな夢ーー時々見るんです。変でしょう?」
ヘンだ。というか、ありえない。
「でね」
あの、あの夜のことはーー青木が見られるはずがない。あの事件の時点では5年前までしか遡れなかったはずだ。なのにーー
「俺は思ってるんです。慰めながら、明日はーー明日には」
あれはもう何年前だっけ……
「薪が」
薪が……?
「薪が、笑っていられますようにって、たくさんたくさん、笑顔でいることができますようにって、ずっと祈っているんです」

鈴木……?

「そのためなら……なんでもするって」


伝染るんだよ 

死んだ人の脳をみると
その人の「念」が

迷信だけどな


鈴木の声が蘇る。

……いや、青木だ。今話しているのは青木。
僕はやっとの思いでかすかに目を開けた。やっぱりそこには青木が微笑んでいた。

それは多分鈴木さんの想いなんです。
鈴木さんが、ずっと抱いていた想い。

でもね、薪さん。
俺も、俺もそう思ってます。
薪さんが笑顔でいられますようにって。たくさんたくさん笑うことができますようにって。
いつもいつも、そう思ってます。願ってます。

意識がゆっくりと遠のく。青木の声が静かに小さく消えていくーー

最後に、青木はそっと呟いた。
「……おやすみなさい、薪さん。ゆっくり眠ってください。」
それを合図に。
僕はすうっと眠りの世界におちていった。


続く
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コメント

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Re: 団欒だ!

>eriemamaさん
お加減いかがですか〜〜!!
大丈夫ですか〜〜!

福岡で買い物に行かなくてもできる鍋=水炊きかなと……(笑)

ここでも少食。小鳥さんです。ジュースいる?はちょっとリアルじゃないですか?ふふふ。

青木はどさくさにまぎれて薪さんに「綺麗な人」って言ってます。まあ、薪さん言われなれてるでしょうけど。

ジェネ鈴木さんに憑依は、話をきいた薪さんは「あの日の夜のことだ」って思っちゃうんですけど、実際はそうじゃないというか。(実は!)青木くんはどちらかというと12巻のときに薪さんをぎゅって抱きしめたのがベースになってるんです。それと鈴木さんの脳内映像がごっちゃになっているんです。同じことだけど、捉える人によって思い浮かぶ映像が違ってくる、っていう「秘密」っぽい感じを描いてみたいなーと………

説明がないとわかんないですね!! (・ω≦)

団欒だ!

私はまた鍋なら青木母がすっぽん鍋でも用意したのではと(*°▽°*)←舞ちゃんの存在忘れてる

いいですね薪さん、ここでも少食(笑)舞ちゃんがジュースいる?とかすごいリアルで笑えました。

そして青木、愛ゆえ(何気に薪さんに綺麗ですって言いましたね!?)遂にジェネシス鈴木さんに憑依(笑)その話を冷静に分析、研究対象にしようとする薪さんもらしい(笑)
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こんにちは
にゃんたろーです!

清水玲子さんの「秘密」についてのレビューを書き散らかします。
ネタバレばかりです。要注意です。

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