秘密 season 0 原罪 (2巻) レビュー 1
今日何気なくTwitterを見ていたら、突然鈴木さんがでてきたのでビックリしたわー!
(メロディの秘密キャラクター紹介が本日から鈴木さんだった!)
心拍数が上がりました。
そして、やっと「原罪」コミックスのレビューに着手………!!
改めて何度か読み直したんですけどね。
いや〜〜この話もけっこう突っ込みどころがいっぱいで……(いろんな意味で……)
でも薪さんは、すごくイキイキしていて、本編の頃とはまるで別人のようです!
もともとはこういう人だったのかなーとか……いろいろ考えちゃった。
そんなわけで、数日に分けて感想まとめを!おつきあいいただければとおもいます〜!
STORY
パリから帰国し、科学警察所長に就任した薪。
彼はホステス行方不明事件の真相を掴むべく、奔走していた。
元第九の部下、青木一行が薪の元を訪ねーー
なぜホステスたちは姿を消したのか。どこへ行ってしまったのか。
カリスマシェフ、タジクの目的は?
そして青木への手紙の返事はーー

1949年
ある国で大規模な核実験が執り行われるーー
空を覆う、巨大なキノコ雲……
2036年
カザフスタン
少年は目の前の大鍋を見つめていた。
その鍋の中で煮える子羊の煮込み。
少年は数時間前、その子羊を、スーホという名の友達であり兄弟のように思っていた子羊を救おうと、雨の中抱きかかえて逃げていたのだ。
しかし、大人の手によって連れ戻されてしまう。
「食べなさい タジク 皆と一緒に」
目の前に差し出されたその肉を、彼は泣きながら口にした。
彼の兄弟の肉を。
更に時を経て。
彼は東京渋谷のスクランブル交差点に、人の波に驚き立ち尽くしていた
それから更に数年後
新宿の雑踏で、ある女が幻覚に苛まれる中、何者かに殺害されたーーーー
「薪さんがランチデート?」
科学警察研究所法医第九研究所に、青木が挨拶のために訪れていた。
「じゃなくて、ランチミーティング?あの小鳥のようにオニギリ一コで満腹になる薪さんが?」
そういいながら福岡土産を差し出す青木に、岡部は慣れた風にそれを受け取った。
「岡部さんは同席しないんですか?」
「するかよ。代官山で超高級レストランでフレンチのコースをあの万年警視総監とだぞ!?」
うまいと思うか?と言う岡部に、言葉を失う青木。
そのため、薪は2時半まで帰ってこないという。悪いな、という岡部に
「お仕事ですから!ただ……薪さんが7月にパリから戻られてからまだきちんとご挨拶出来てないのでーーそれで寄っただけなんで」
「…だったか?もう10月だが」
仕事の連絡などはあるが、度々寄っているものの、なかなか薪とは話ができていないーー
もう、あれから2年になる
薪さんが帰ってきて、科警研の所長になる!ってなったとき、元第九の皆さんはどんな感じだったんでしょうね?
「うおー!」
「帰国祝いする!?」
「集まる!?」
って湧いたけど、薪さんに冷たく「自分の持ち場を考えろ」とかいって却下されてそう………。
そして絶対岡部さんだけが2人で小さく帰国祝いとかしてそう!!
どこまで美味しいんだ岡部母さん!!!(妄想です)
小鳥のようにおにぎり一個で満腹な薪しゃんかわゆす。
にゃんたろーおにぎり一個なんかで満腹に……なるわけねーだろゴラア!!
その頃薪はーー
警視総監、林組織犯罪対策部長、緒方生活安全部長という警察のキャリアの面々と肉料理を囲んでいた。
にこやかに「ではいただきましょうか」という薪を制して、警視総監が口火を切る
「一体なんだね…これは」
「ラム肉にフォアグラをのせたソテーです」
「それは今聞いたわかっている」
フォアグラがいかに残酷な方法で作られるかなどと、意味もない不快な話をする薪に警視総監はとうとう机をたたきーー
「私が聞きたいのは何故、多忙をきわめる国家公務員である組織犯罪対策部長、生活安全部長、そして私までもが警視庁の11階会議室ではなく昼日中こんな代官山の超高級レストランの個室でランチをとることになったのかという事だ!」
「ご心配なく。支払いは経費ではなくお誘いした私の自腹で」
「そんな事をきいているのではっ」
「いいんですか」
薪は静かに写真をテーブルに並べーー
「ではすぐに資料写真を呈示して本題に入ってもかまわないんですね?」
もちろんだといいつつも少し怯む警視総監に、薪は言葉を続ける
「中には少々刺激的なものもありますが見る前にせっかくのフォアグラのソテーを召し上がっておかなくても本当に大丈夫ですか?」
薪の微笑みに、逆に不穏なものを感じたのか、おとなしく肉料理を口に運ぶ3名だった。
しかし、その料理があまりに美味だったので、口々に賞賛する3人。
「うらやましいね 君いつもこんな外食を?」
「私が?まさか」
ワイングラスを両手で持ち、その様子を微笑みながら見つめる薪ーー
「私は基本外食はしません」
「だって何が調理されてるかわからないじゃないですか」
その一言に思わず食事の手が止まる
「…そ、そういえば…薪くん君さっきから水しか…」
薪は先ほどテーブルに並べた資料写真から一枚の女性を示した
「これは今年9月に失踪して今現在捜索願が出されているホステス ガリーナ・ツォイ」
さらに、小さなビニール袋に分けられているピアス、失踪時に着用していた血液のついた衣類、毛髪、そして、細かく砕かれた歯ーー
DNA鑑定の結果本人のものである事、本人の生存は絶望的である事……
唐突な薪の話に戸惑う3名だったが、薪はかまわず続ける
「これらの証拠品は総てとある有名レストランから出される事業系一般廃棄物から収集されたものです」
「つまり、生ゴミです」
ガリーナは何者かに殺害され、遺体は有名レストランに運び込まれたが、その遺体は一体どこに消えたのかーー
「彼女は形を変えちゃんとレストランから『出されていた』……だけなのでは?」
「わかった…もう充分こわいから…怪談話はやめたまえ」
「怪談話?そんな総監、私が総監相手に作り話の怪談をしてこわがらせたいわけないじゃないですか…」
「何かものすごく君の悪意を感じるのは気のせいかね」
「もちろんです。私が総監にお話ししている事は総て脚色なしの事実です。何故なら」
そこに扉をノックする音が響く
「ここがその遺体が…」
「薪君!!ねぇちょーど何かきたけどっデザートじゃないかなあっ!」
薪の怪談めいた話を中断させようと大きな声で遮る林だったがーー
この警察官僚3名とのやりとり、明らかにこれはサービス?
おちゃめな薪さん炸裂です。
お水両手持ち薪さんとか……
「上官の話の最中に酒を飲むな」「これは水です」「水も飲むな!」とか、けっこう警視総監との掛け合い好きです。
でもなんのかんの呼び出されてランチしてるっていうのは………どんな手をつかったんだろ、薪さん。
そしてすでに肉料理ってことはこの前になんか前菜とかも食べてますよねえ?
いくらランチとはいえ、突然肉は……
そして薪さんフォアグラ嫌いそう………
にゃんたろーもあまり好きじゃない………。でも羊は好き……。
そのレストランのシェフは、薪ら個室の客に出したはずのデザートが手付かずで帰って来た事を訝る。
薪の話はさらにヒートアップしていた。
そもそも、この行方不明になった女性達は不法入国者でその対策をとるべきだったのは林組織犯罪対策部長だったはずだと。
さらに、緒方生活安全部長にも、ホステスが何人も行方不明になっている現状をしりつつ何もしなかったことを糾弾した。
日本の警察に頼ることを諦めたガリーナの妹はなんとか自分で証拠を掴もうと、単独で調べ上げこのレストランの敷地内から無断で証拠を見つけ出してしまったのだ。
令状をとった正規の捜査ではなかったためーー入手方法が違法なため、証拠能力がなく起訴には持ち込めない。
「本日あなた方にここで出される料理を召し上がって頂いたのは『事件』を人事ではなく我が身の事として真剣に向き合っていただきたいとの思いからでした」
いままでの不遜なまでの態度を一変させ、薪は床に膝をついて、3人を見上げた
「このレストランで出されているもの総てをーー調べさせてください」
「そして今度何か出た時、その時は必ず裁判の『証拠』として使えるようあなたの許可を!」
無理だ、管轄が違う、と声を荒げる総監だったが、薪はさらに、ガリーナの妹は何者かに襲われて入院している旨を告げた。
もうホステスとして働けるような身体ではないということを。
その責任は我々警察にある、と。
どうか、と土下座する薪に慌てる総監だったが、その薪の腕を掴んで立ち上がらせたのはーー
「今お持ちしたのはデザートですがそのようなご事情でしたらこちらは全面的にご協力させて頂きますよ」
コックコートを来た長身の男は続けた。
「昨年よりここ『エトール・セントラル』でシェフを務めさせて頂いておりますタジク・シャマールです」
見知らぬ女性のために土下座までする薪さん……!!!
薪さんにはものすごく警察官らしい潔癖なまでの正義感があって、それが彼の核になっているのは確かなんだけど……
本編の頃より、シーズン0の方がそれが強いような気がします。
「あっち側に落っこちそう」な感じがしないですよね。
第九に戻った薪は、岡部からタジクのことと事件との接点について報告を受ける。
タジクは、カザフ族の貧しい遊牧民の出身でありながら、自ら様々な食材のと畜、解体を行い、食材を無駄なく使う事でミシュランをはじめ評価を得ており一種カリスマ的な存在としてみられている事。
事件とのつながりらしい事といえば、ガリーナのパトロンであった川谷寿明、その父親である衆議院議員の川谷雅人の秘書をしている元外国籍の女性『日向沙羅』と親しいということくらいだとーー
川谷衆議院議員とは、薪が18のときに面識があった。その時のことを思い出し、「こいつ犯人にしたいな…」とボソっと呟く薪。
そのつぶやきに狼狽えながらも、岡部はタジクが協力的でよかったですね、と話す。
「こんなに堂々とされてちゃあんま成果は期待できないっすけどねーー」
薪は、タジクが『食材』を裁く映像を見つめながら自らの思考に沈んでいく。
動きがあまりに早く見事なので何かを感じるヒマを与えないーー
何体捌いたらここまで到達するんだろうーー
ガリーナは……
タジクの手によって…………?
その映像を想像して一瞬ふらつく薪の肩を「大丈夫ですか?」と支える手が。
ネクタイを緩め、上着を脱ぎながら
「大丈夫だ おまえ先帰れ 僕は残った料理サンプルをひととおり調べてから帰る」と答える薪。
お手伝いします。他の捜査員は?と問うその人物を岡部だと思い込んでいる薪は、気安い口調で「定時で帰すって言ったのおまえ」と振り返ると……
「お久しぶりです」
にっこりと微笑む青木の姿が。
薪はしばらく呆然として、脱ぎかけた上着を再び羽織りーー
「岡部、ヒゲはっ!」
「ごめんなさい、おどかして。すみません、そーゆう返しカンベンして下さい」
東京で会議があるため、一足早く来て薪に挨拶がしたかった、と言う青木。
薪はその言葉に笑みをもらしながらも
「いつまでも僕の『部下』でいるのはやめろ」とつきはなす。
「自分の持ち場の第8管区(九州)の事を考えろ。もう帰れ」
背を向けて作業を始める薪には、青木が決して自分の仕事をないがしろにしているわけではなく、今日の訪問も私用の時間を使っていることもわかっていた。
だが、青木がこういう時決して言い返したり反論したりしない賢い男であることもよくわかっていた。
ぺこ、と頭を下げる青木だったが……
「ひとつだけいいですか」
「手紙 読んでいただけましたか」
手紙。
「ちょうど一年ほど前薪さんがパリにいらっしゃる時にかいたんですけど……まだ返事を…」

もう、岡部さんと薪さんが仲良しすぎて………!!!
本編よりかなりくだけた印象ですよね。
でもまた2人でお仕事できて、2人とも嬉しいんだろうなあ。すっかり気心がしれた感じがします。
そして、いつのまにか入れ替わっている岡部さんと青木くん……!!
これは素で薪さんが思考に沈み過ぎていて気がつかなかったのか、岡部さんと青木くんのいたずら心があったのか、どっちなんでしょうね?
めずらしく呆然としてびっくりする薪さんがかわゆい!!
それにしても、普通上司の上着脱がすの手伝う……??
会社でそんなの見たことないんですけど………。
岡部さん………???
そして二人でコーヒーをのんでいるときの薪さんの切なげながら嬉しそうなお顔!
なのに口からでるのは
「いつまでも僕の『部下』でいるのはやめろ」
「もう帰れ」
ああ………どこまでも素直じゃない薪しゃんだった………。
そして手紙!
薪さんに返事を要求したことにビックリ!!!
最終回読んで、私はあれは返事を要求する類の手紙ではないと思ってたんです。
そうか………
読みが甘かったな。
青木くんは本気だったんだね………!!!
や、なんか出来たら……みたいな、家族愛みたいな、そんな認識なのかなって思ってたんだけど
そうじゃなくてガチでプロポーズだったのか!と……
読みが甘かったです。
だってあれ上司に………送る………送れる内容……!?
あ、いやだからこそガチのプロポーズなのか………???
そして、手紙を一通しか送ってない青木くん………
押しが弱いよ!!!
だめだよそんなんじゃあっ!!!
わかってんでしょ!?
そして、薪しゃん、青木くんってそんな賢い男でしたっけ………。
けっこう言い返したりしてますよねえ……?
4巻とか5巻とか7巻とか9巻とか10巻とかとかとか………
しばらく離れてたから美化されてるんじゃないですか………?
「薪さん!」
岡部が慌てて薪を呼びに入ってきた。
「出ました……!」
ガリーナの、視覚の映像が発見されたのだ。
しかし、その視界は………
「……幻覚」
「クスリでもやってたのか…?」
脳組織をしらべれば幻覚の原因がわかる、この組織はどこから発見されたものかと問う薪。
それは料理ではなくーー
翌日再びタジクのレストランを訪れた薪。
「料理からは何もでなかったのでしょう?」とオードブルの試食を勧めるタジクに、薪は詰め寄った
あの脳組織はこのレストランの敷地内のゴミ集積所から見つかったのだ。
そして生前、彼女がクロイツフェルト・ヤコブ病を発症していたことがわかった。
そのため、幻覚や幻視が多すぎて全く証拠として役に立たない。
「おまえが捜査に協力的だったのは知っていたからか…?」
声を荒げる薪に、タジクはあくまで冷静にそれらは証拠にも何にもならない、と言い放つ。
何者かがレストランに持ち込んだものかもしれない、妹が持ち込んだのかもしれない、なんの証拠にもならないと。
「被害者はむしろ私達の方ではないかと思うが、違いますか?」
「わざと見せたのか お前があそこに置いたのか」
まっすぐな薪の視線に目もそらさず不敵に見返すタジク
「おまえ一体…ここで何をやってる」
「料理ですよ」
うちはただのフレンチレストランで事件とは関わりがない、というタジクーー
そこに『沙羅』から添付ファイル付きのメールが入る……
同じ頃第九では、再び訪れた青木が岡部から薪が単身でレストランに出向いたことを聞き、つい岡部に「ちゃんと警護くらいつけて下さいよ!」と怒る。
探しに行こうと車に乗った青木の脳裏には昨夜の薪の言葉がよみがえっていた。
いつまでも僕の部下でいるのはやめろ
おまえの助けはいらない
自分の持ち場の事をまず考えろ
やりきれない想いに、思わずハンドルを叩くのだった。
タジクが沙羅からのメールを開くと……
首から血を流した入院中のガリーナの妹の写真が現れた。
ついで沙羅からの着信が鳴り響く。
彼はため息をひとつつきーーー
「タジク!」
「失礼」
薪をのこし、厨房を後にする。
歩みを速め、彼は沙羅からの電話に応えた。
「沙羅?大丈夫だ。大丈夫何とかするから俺の言う事をきいて」
このお話のツッコミどころは終わった後にまとめるとして……
このお話の薪さんってちょっとナナメ上な発想じゃないですか?
だってレストランで料理に遺体を混ぜてなんて、リスクが高すぎるわりに意味がわからなくないですか。
他にもっといい手がありそうですが。所長。
シーズン0を通してなのですが、割とお話の矛盾とかツッコミどころよりも、勢いとかテーマの方を大事にして描いてらっしゃるのかなって感じがしました。
だから「えーーー!!」ってところも多いのですが、読んでいるときはスピード感があって気にならなかったりするんですよねえ。
何回か読んでいくと「………ん??まって!それって……」ってなることろがあって。
(ジェネシスのツッコミまくっているレビューを読んでくださった方にはお分かりになるかと思いますが……)
でも、テーマなんかは、かなりはっきりと伝わってくるんですよね。
これもまた、清水先生の挑戦なのかもしれません。
そんなわけで、原罪のレビュー、数日に分けて書いていきます。
お付き合いいただければ幸いです
(でももうちょっと頑張って端折ります………長すぎですよね ^^;)
(メロディの秘密キャラクター紹介が本日から鈴木さんだった!)
心拍数が上がりました。
そして、やっと「原罪」コミックスのレビューに着手………!!
改めて何度か読み直したんですけどね。
いや〜〜この話もけっこう突っ込みどころがいっぱいで……(いろんな意味で……)
でも薪さんは、すごくイキイキしていて、本編の頃とはまるで別人のようです!
もともとはこういう人だったのかなーとか……いろいろ考えちゃった。
そんなわけで、数日に分けて感想まとめを!おつきあいいただければとおもいます〜!
STORY
パリから帰国し、科学警察所長に就任した薪。
彼はホステス行方不明事件の真相を掴むべく、奔走していた。
元第九の部下、青木一行が薪の元を訪ねーー
なぜホステスたちは姿を消したのか。どこへ行ってしまったのか。
カリスマシェフ、タジクの目的は?
そして青木への手紙の返事はーー

1949年
ある国で大規模な核実験が執り行われるーー
空を覆う、巨大なキノコ雲……
2036年
カザフスタン
少年は目の前の大鍋を見つめていた。
その鍋の中で煮える子羊の煮込み。
少年は数時間前、その子羊を、スーホという名の友達であり兄弟のように思っていた子羊を救おうと、雨の中抱きかかえて逃げていたのだ。
しかし、大人の手によって連れ戻されてしまう。
「食べなさい タジク 皆と一緒に」
目の前に差し出されたその肉を、彼は泣きながら口にした。
彼の兄弟の肉を。
更に時を経て。
彼は東京渋谷のスクランブル交差点に、人の波に驚き立ち尽くしていた
それから更に数年後
新宿の雑踏で、ある女が幻覚に苛まれる中、何者かに殺害されたーーーー
「薪さんがランチデート?」
科学警察研究所法医第九研究所に、青木が挨拶のために訪れていた。
「じゃなくて、ランチミーティング?あの小鳥のようにオニギリ一コで満腹になる薪さんが?」
そういいながら福岡土産を差し出す青木に、岡部は慣れた風にそれを受け取った。
「岡部さんは同席しないんですか?」
「するかよ。代官山で超高級レストランでフレンチのコースをあの万年警視総監とだぞ!?」
うまいと思うか?と言う岡部に、言葉を失う青木。
そのため、薪は2時半まで帰ってこないという。悪いな、という岡部に
「お仕事ですから!ただ……薪さんが7月にパリから戻られてからまだきちんとご挨拶出来てないのでーーそれで寄っただけなんで」
「…だったか?もう10月だが」
仕事の連絡などはあるが、度々寄っているものの、なかなか薪とは話ができていないーー
もう、あれから2年になる
薪さんが帰ってきて、科警研の所長になる!ってなったとき、元第九の皆さんはどんな感じだったんでしょうね?
「うおー!」
「帰国祝いする!?」
「集まる!?」
って湧いたけど、薪さんに冷たく「自分の持ち場を考えろ」とかいって却下されてそう………。
そして絶対岡部さんだけが2人で小さく帰国祝いとかしてそう!!
どこまで美味しいんだ岡部母さん!!!(妄想です)
小鳥のようにおにぎり一個で満腹な薪しゃんかわゆす。
にゃんたろーおにぎり一個なんかで満腹に……なるわけねーだろゴラア!!
その頃薪はーー
警視総監、林組織犯罪対策部長、緒方生活安全部長という警察のキャリアの面々と肉料理を囲んでいた。
にこやかに「ではいただきましょうか」という薪を制して、警視総監が口火を切る
「一体なんだね…これは」
「ラム肉にフォアグラをのせたソテーです」
「それは今聞いたわかっている」
フォアグラがいかに残酷な方法で作られるかなどと、意味もない不快な話をする薪に警視総監はとうとう机をたたきーー
「私が聞きたいのは何故、多忙をきわめる国家公務員である組織犯罪対策部長、生活安全部長、そして私までもが警視庁の11階会議室ではなく昼日中こんな代官山の超高級レストランの個室でランチをとることになったのかという事だ!」
「ご心配なく。支払いは経費ではなくお誘いした私の自腹で」
「そんな事をきいているのではっ」
「いいんですか」
薪は静かに写真をテーブルに並べーー
「ではすぐに資料写真を呈示して本題に入ってもかまわないんですね?」
もちろんだといいつつも少し怯む警視総監に、薪は言葉を続ける
「中には少々刺激的なものもありますが見る前にせっかくのフォアグラのソテーを召し上がっておかなくても本当に大丈夫ですか?」
薪の微笑みに、逆に不穏なものを感じたのか、おとなしく肉料理を口に運ぶ3名だった。
しかし、その料理があまりに美味だったので、口々に賞賛する3人。
「うらやましいね 君いつもこんな外食を?」
「私が?まさか」
ワイングラスを両手で持ち、その様子を微笑みながら見つめる薪ーー
「私は基本外食はしません」
「だって何が調理されてるかわからないじゃないですか」
その一言に思わず食事の手が止まる
「…そ、そういえば…薪くん君さっきから水しか…」
薪は先ほどテーブルに並べた資料写真から一枚の女性を示した
「これは今年9月に失踪して今現在捜索願が出されているホステス ガリーナ・ツォイ」
さらに、小さなビニール袋に分けられているピアス、失踪時に着用していた血液のついた衣類、毛髪、そして、細かく砕かれた歯ーー
DNA鑑定の結果本人のものである事、本人の生存は絶望的である事……
唐突な薪の話に戸惑う3名だったが、薪はかまわず続ける
「これらの証拠品は総てとある有名レストランから出される事業系一般廃棄物から収集されたものです」
「つまり、生ゴミです」
ガリーナは何者かに殺害され、遺体は有名レストランに運び込まれたが、その遺体は一体どこに消えたのかーー
「彼女は形を変えちゃんとレストランから『出されていた』……だけなのでは?」
「わかった…もう充分こわいから…怪談話はやめたまえ」
「怪談話?そんな総監、私が総監相手に作り話の怪談をしてこわがらせたいわけないじゃないですか…」
「何かものすごく君の悪意を感じるのは気のせいかね」
「もちろんです。私が総監にお話ししている事は総て脚色なしの事実です。何故なら」
そこに扉をノックする音が響く
「ここがその遺体が…」
「薪君!!ねぇちょーど何かきたけどっデザートじゃないかなあっ!」
薪の怪談めいた話を中断させようと大きな声で遮る林だったがーー
この警察官僚3名とのやりとり、明らかにこれはサービス?
おちゃめな薪さん炸裂です。
お水両手持ち薪さんとか……
「上官の話の最中に酒を飲むな」「これは水です」「水も飲むな!」とか、けっこう警視総監との掛け合い好きです。
でもなんのかんの呼び出されてランチしてるっていうのは………どんな手をつかったんだろ、薪さん。
そしてすでに肉料理ってことはこの前になんか前菜とかも食べてますよねえ?
いくらランチとはいえ、突然肉は……
そして薪さんフォアグラ嫌いそう………
にゃんたろーもあまり好きじゃない………。でも羊は好き……。
そのレストランのシェフは、薪ら個室の客に出したはずのデザートが手付かずで帰って来た事を訝る。
薪の話はさらにヒートアップしていた。
そもそも、この行方不明になった女性達は不法入国者でその対策をとるべきだったのは林組織犯罪対策部長だったはずだと。
さらに、緒方生活安全部長にも、ホステスが何人も行方不明になっている現状をしりつつ何もしなかったことを糾弾した。
日本の警察に頼ることを諦めたガリーナの妹はなんとか自分で証拠を掴もうと、単独で調べ上げこのレストランの敷地内から無断で証拠を見つけ出してしまったのだ。
令状をとった正規の捜査ではなかったためーー入手方法が違法なため、証拠能力がなく起訴には持ち込めない。
「本日あなた方にここで出される料理を召し上がって頂いたのは『事件』を人事ではなく我が身の事として真剣に向き合っていただきたいとの思いからでした」
いままでの不遜なまでの態度を一変させ、薪は床に膝をついて、3人を見上げた
「このレストランで出されているもの総てをーー調べさせてください」
「そして今度何か出た時、その時は必ず裁判の『証拠』として使えるようあなたの許可を!」
無理だ、管轄が違う、と声を荒げる総監だったが、薪はさらに、ガリーナの妹は何者かに襲われて入院している旨を告げた。
もうホステスとして働けるような身体ではないということを。
その責任は我々警察にある、と。
どうか、と土下座する薪に慌てる総監だったが、その薪の腕を掴んで立ち上がらせたのはーー
「今お持ちしたのはデザートですがそのようなご事情でしたらこちらは全面的にご協力させて頂きますよ」
コックコートを来た長身の男は続けた。
「昨年よりここ『エトール・セントラル』でシェフを務めさせて頂いておりますタジク・シャマールです」
見知らぬ女性のために土下座までする薪さん……!!!
薪さんにはものすごく警察官らしい潔癖なまでの正義感があって、それが彼の核になっているのは確かなんだけど……
本編の頃より、シーズン0の方がそれが強いような気がします。
「あっち側に落っこちそう」な感じがしないですよね。
第九に戻った薪は、岡部からタジクのことと事件との接点について報告を受ける。
タジクは、カザフ族の貧しい遊牧民の出身でありながら、自ら様々な食材のと畜、解体を行い、食材を無駄なく使う事でミシュランをはじめ評価を得ており一種カリスマ的な存在としてみられている事。
事件とのつながりらしい事といえば、ガリーナのパトロンであった川谷寿明、その父親である衆議院議員の川谷雅人の秘書をしている元外国籍の女性『日向沙羅』と親しいということくらいだとーー
川谷衆議院議員とは、薪が18のときに面識があった。その時のことを思い出し、「こいつ犯人にしたいな…」とボソっと呟く薪。
そのつぶやきに狼狽えながらも、岡部はタジクが協力的でよかったですね、と話す。
「こんなに堂々とされてちゃあんま成果は期待できないっすけどねーー」
薪は、タジクが『食材』を裁く映像を見つめながら自らの思考に沈んでいく。
動きがあまりに早く見事なので何かを感じるヒマを与えないーー
何体捌いたらここまで到達するんだろうーー
ガリーナは……
タジクの手によって…………?
その映像を想像して一瞬ふらつく薪の肩を「大丈夫ですか?」と支える手が。
ネクタイを緩め、上着を脱ぎながら
「大丈夫だ おまえ先帰れ 僕は残った料理サンプルをひととおり調べてから帰る」と答える薪。
お手伝いします。他の捜査員は?と問うその人物を岡部だと思い込んでいる薪は、気安い口調で「定時で帰すって言ったのおまえ」と振り返ると……
「お久しぶりです」
にっこりと微笑む青木の姿が。
薪はしばらく呆然として、脱ぎかけた上着を再び羽織りーー
「岡部、ヒゲはっ!」
「ごめんなさい、おどかして。すみません、そーゆう返しカンベンして下さい」
東京で会議があるため、一足早く来て薪に挨拶がしたかった、と言う青木。
薪はその言葉に笑みをもらしながらも
「いつまでも僕の『部下』でいるのはやめろ」とつきはなす。
「自分の持ち場の第8管区(九州)の事を考えろ。もう帰れ」
背を向けて作業を始める薪には、青木が決して自分の仕事をないがしろにしているわけではなく、今日の訪問も私用の時間を使っていることもわかっていた。
だが、青木がこういう時決して言い返したり反論したりしない賢い男であることもよくわかっていた。
ぺこ、と頭を下げる青木だったが……
「ひとつだけいいですか」
「手紙 読んでいただけましたか」
手紙。
「ちょうど一年ほど前薪さんがパリにいらっしゃる時にかいたんですけど……まだ返事を…」

もう、岡部さんと薪さんが仲良しすぎて………!!!
本編よりかなりくだけた印象ですよね。
でもまた2人でお仕事できて、2人とも嬉しいんだろうなあ。すっかり気心がしれた感じがします。
そして、いつのまにか入れ替わっている岡部さんと青木くん……!!
これは素で薪さんが思考に沈み過ぎていて気がつかなかったのか、岡部さんと青木くんのいたずら心があったのか、どっちなんでしょうね?
めずらしく呆然としてびっくりする薪さんがかわゆい!!
それにしても、普通上司の上着脱がすの手伝う……??
会社でそんなの見たことないんですけど………。
岡部さん………???
そして二人でコーヒーをのんでいるときの薪さんの切なげながら嬉しそうなお顔!
なのに口からでるのは
「いつまでも僕の『部下』でいるのはやめろ」
「もう帰れ」
ああ………どこまでも素直じゃない薪しゃんだった………。
そして手紙!
薪さんに返事を要求したことにビックリ!!!
最終回読んで、私はあれは返事を要求する類の手紙ではないと思ってたんです。
そうか………
読みが甘かったな。
青木くんは本気だったんだね………!!!
や、なんか出来たら……みたいな、家族愛みたいな、そんな認識なのかなって思ってたんだけど
そうじゃなくてガチでプロポーズだったのか!と……
読みが甘かったです。
だってあれ上司に………送る………送れる内容……!?
あ、いやだからこそガチのプロポーズなのか………???
そして、手紙を一通しか送ってない青木くん………
押しが弱いよ!!!
だめだよそんなんじゃあっ!!!
わかってんでしょ!?
そして、薪しゃん、青木くんってそんな賢い男でしたっけ………。
けっこう言い返したりしてますよねえ……?
4巻とか5巻とか7巻とか9巻とか10巻とかとかとか………
しばらく離れてたから美化されてるんじゃないですか………?
「薪さん!」
岡部が慌てて薪を呼びに入ってきた。
「出ました……!」
ガリーナの、視覚の映像が発見されたのだ。
しかし、その視界は………
「……幻覚」
「クスリでもやってたのか…?」
脳組織をしらべれば幻覚の原因がわかる、この組織はどこから発見されたものかと問う薪。
それは料理ではなくーー
翌日再びタジクのレストランを訪れた薪。
「料理からは何もでなかったのでしょう?」とオードブルの試食を勧めるタジクに、薪は詰め寄った
あの脳組織はこのレストランの敷地内のゴミ集積所から見つかったのだ。
そして生前、彼女がクロイツフェルト・ヤコブ病を発症していたことがわかった。
そのため、幻覚や幻視が多すぎて全く証拠として役に立たない。
「おまえが捜査に協力的だったのは知っていたからか…?」
声を荒げる薪に、タジクはあくまで冷静にそれらは証拠にも何にもならない、と言い放つ。
何者かがレストランに持ち込んだものかもしれない、妹が持ち込んだのかもしれない、なんの証拠にもならないと。
「被害者はむしろ私達の方ではないかと思うが、違いますか?」
「わざと見せたのか お前があそこに置いたのか」
まっすぐな薪の視線に目もそらさず不敵に見返すタジク
「おまえ一体…ここで何をやってる」
「料理ですよ」
うちはただのフレンチレストランで事件とは関わりがない、というタジクーー
そこに『沙羅』から添付ファイル付きのメールが入る……
同じ頃第九では、再び訪れた青木が岡部から薪が単身でレストランに出向いたことを聞き、つい岡部に「ちゃんと警護くらいつけて下さいよ!」と怒る。
探しに行こうと車に乗った青木の脳裏には昨夜の薪の言葉がよみがえっていた。
いつまでも僕の部下でいるのはやめろ
おまえの助けはいらない
自分の持ち場の事をまず考えろ
やりきれない想いに、思わずハンドルを叩くのだった。
タジクが沙羅からのメールを開くと……
首から血を流した入院中のガリーナの妹の写真が現れた。
ついで沙羅からの着信が鳴り響く。
彼はため息をひとつつきーーー
「タジク!」
「失礼」
薪をのこし、厨房を後にする。
歩みを速め、彼は沙羅からの電話に応えた。
「沙羅?大丈夫だ。大丈夫何とかするから俺の言う事をきいて」
このお話のツッコミどころは終わった後にまとめるとして……
このお話の薪さんってちょっとナナメ上な発想じゃないですか?
だってレストランで料理に遺体を混ぜてなんて、リスクが高すぎるわりに意味がわからなくないですか。
他にもっといい手がありそうですが。所長。
シーズン0を通してなのですが、割とお話の矛盾とかツッコミどころよりも、勢いとかテーマの方を大事にして描いてらっしゃるのかなって感じがしました。
だから「えーーー!!」ってところも多いのですが、読んでいるときはスピード感があって気にならなかったりするんですよねえ。
何回か読んでいくと「………ん??まって!それって……」ってなることろがあって。
(ジェネシスのツッコミまくっているレビューを読んでくださった方にはお分かりになるかと思いますが……)
でも、テーマなんかは、かなりはっきりと伝わってくるんですよね。
これもまた、清水先生の挑戦なのかもしれません。
そんなわけで、原罪のレビュー、数日に分けて書いていきます。
お付き合いいただければ幸いです
(でももうちょっと頑張って端折ります………長すぎですよね ^^;)
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